コロナ禍 ✕ 有機農業
現在、作成中の小冊子
「コロナ禍」とは何だったのか
〜有機農業の視点から振り返る〜
コロナ禍の最中に書かれた小林農場の農場通信より抜粋されています。
農家の立場からコロナ禍について語っています。
自然について、健康について、命について、今まで有機農業から何を学んできたのか。コロナ禍の日々では、それが試されました。
コロナ禍を振り返ることは、有機農業の理念を振り返ることにもなります。
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小冊子の1ページ目
鳥インフルエンザから考えるウイルス対策 令和3年3月18日
花の便りが聞かれるこの頃、皆さま、いかがおすごしでしょうか。
先日、小林農場の地元である栃木県芳賀郡の養鶏場で鳥インフルエンザが発生して、鳥インフルエンザウイルスの感染拡大を防止するために養鶏所の鶏は全て殺処分されて埋められました。付近の養鶏所も肉や卵を出荷する際に様々な制限を受けることになりました。
鳥インフルエンザは鳥に罹る感染症であり、よっぽどのことがなければ人間がウイルスに感染して鳥インフルエンザに罹ることはありません。鶏の卵や肉にウイルスが付着していても、ウイルスは熱に弱いので普通に加熱して料理すれば問題なく食べられます。
鳥インフルエンザウイルスは遠くから渡ってきた野鳥によって海外より運ばれ、それらが何かに付着しながら鶏舎の中まで移って鶏へと感染し、複数の鶏が突然、次々に亡くなって感染が発覚します。現在の多くの養鶏場では卵や肉を大量に生産できるように、数万羽の多数の鶏を集中して鶏舎に囲いながら飼育していますが、密閉・密集・密接の環境下で飼育されているので感染症などの病気が広まりやすくなります。感染を防ぐためにたくさんの薬やワクチンを鶏に与えたり、たくさんの消毒液を鶏舎に散布したりしています。
私の農業の師匠も鶏を飼育していて、私も養鶏について学ばせていただきました。現在の一般的な養鶏場とは違って師匠の鶏舎は日当たりと風通しの良い場所に建てられていて、床は広々としていて鶏は自由に動き回っていました。ときどき鶏舎の外に鶏を放して、鶏は太陽の陽を浴びながら夢中になって土を嘴でつついたり足でかき回したりしていました。
師匠は豚も飼育していましたが、広々とした放牧場で豚は寝そべったり泥遊びをしたりして暮らしていました。ときどき元気な豚が柵を壊して脱走し、放牧場に連れ戻そうとする私達から逃げ回って大変でしたが、巨体を揺らしながら疾走する豚の姿は見ものでした。
少数の家畜を広い空間で飼育しようとすると手間がかかって生産効率は良くありませんが、日当たりと風通しの良い環境で家畜は健全に育ち、病気に罹りにくくなります。野外で病原ウイルスに感染しても発症しにくく、薬もワクチンも消毒液も必要なくなります。
農林水産省は、放牧場で豚が野生のイノシシなどと接触して病原ウイルスをうつされないように、豚を豚舎に囲うようにして放牧させることを禁止することを検討し始めています。農水省は病原ウイルス感染予防のためには家畜を施設に閉じ込めるべきだと考えています。しかし鳥インフルエンザは鶏舎に鶏を閉じ込めて飼育している養鶏場で発生しています。ウイルスは人の目には見えず、ウイルスの侵入を完璧に防ぐことは無理です。
鶏を野外で飼育している養鶏場で鳥インフルエンザが発生しているわけではありません。野外で健全に育った家畜はウイルスに感染しても発症しにくく、閉じ込められることによって家畜はストレスを溜め込んで免疫力を落として常に薬やワクチンや消毒液に依存しないといけないような病弱な体質になります。ウイルス感染の防止に力を注ぐよりも、ウイルスに感染しても発症させないように家畜を健全に飼育することに力を注いだほうが良いと思います。そうすればウイルスを過度に恐れずに共存してゆけるようになります。
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小冊子の2ページ目
免疫力を高める時 令和2年3月5日
寒さもだいぶゆるんできた今日このごろです。皆さま、いかがおすごしでしょうか。
今、世間を騒がせている新型コロナウイルスは風邪の一種です。私は小林農場を設立してから一度も風邪をひいて寝込んだことがありません。私は畑に一人で仕事をしている時間が長く、外出して他の人と会う時間が短くて、人から風邪をうつされる機会が少ないです。
多くの人達は職場などで複数の人と接しながら暮らしています。だから日本政府などが国内に、「外出して自宅に帰ってきたらよく自分の手を水洗いして、手に付着しているかもしれないウイルス菌を落とすように」と、手洗いの重要性を度々呼びかけています。
そして、「もしも咳や発熱などの新型コロナウイルスの症状が現れたら、他の人にうつしてしまわぬように外出を控えてほしい」とも呼びかけています。今まで毎週、一度も休まずに野菜セットを皆さんにお届けしてきたことが私の自慢なのですが、もしも私にも咳や発熱などの症状が現れましたら出荷をお休みさせていただき、回復するまで自宅で養生していようと思います。休まなくてもよいように、いつもよりも丁寧に手洗いをしています。
現時点では新型コロナウイルスに感染した人の多くは軽症ですみ、特に赤ちゃんを含めた子供たちが感染後に重症化した事例はほとんどないようです。感染した高齢者が重症化することはあるようですが、高齢によって免疫力が落ちているのが原因だと思われます。免疫力が高い人の体には新型コロナウイルスは侵入しにくいことも分かってきています。
十分に睡眠をとったり、適度に運動したり、規則正しい生活を送ることにより免疫力を高めてゆけるようです。普段から規則正しい生活を心掛けてゆくべきですが、今回のウイルス騒動は不規則になりがちな自分の生活を見直して改善するのに良い機会となります。
食事の摂り方も免疫に影響を及ぼすようです。「よく噛んで食べること」「食べすぎずに腹八分を守ること」が免疫力を高めるのに良いようです。自分の命を支えてくれる食べ物に対して感謝の念を抱いてかみしめながら食べれば、自ずとそのような食べ方になります。
みそや漬け物などの発酵食品も免疫力を高めるのに優れているようです。日本では昔からご飯にみそ汁と漬け物を組み合わせた食事が食べられてきましたが、昔ながらの食事は現代の日本人の体にも適しているようです。野菜の煮汁や野菜の外皮にもたくさん栄養が含まれているので、それらを捨てずに丸ごと大事に食べると栄養素がたくさん摂れます。
日本政府はついに、全国の学校に臨時休校をするように要請し、子供たちにはできるだけ外出しないように呼びかけています。小林農場の野菜を食べてくださっているご家庭には小学生、中学生、高校生のお子さんもいますが、唐突すぎる政府の要請にとまどっているご家庭も多いのではないかと思います。笑うことも免疫力を高めるのに良いようですが、様々な催しが次々に中止されて、施設も閉じられて、笑顔になれる場が消えていっています。
免疫力を高める食材といえば、野菜です。私が今まで風邪をひかなかったのは、小林農場の野菜を常食してきたおかげでもあると思っています。農場の野菜が皆さんの免疫力も高めているのであれば嬉しいです。小林農場はいつも通りに野菜をお届けし続けます。